週刊「水」ニュース・レポート    2016年9月21日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「水からエネルギーを生む」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


水問題を解決しようとすると、水を増やす、水を浄化する、他所から水を運ぶなどを考えますが、できるのはそれだけでしょうか。

いえ、そうではありません。なぜなら「水は万物の母」といわれるように、あらゆるものに関係しており、たとえば、私たちが生きていくうえで欠かすこのできない食料やエネルギーとも密接につながっています。

それぞれの頭文字をとってFEW(food、forest、energy、water)。

いずれも将来が心配されているものですから”few"という名称はぴったりだと思います。”few"をきちんと守っていくことは”フューチャー"につながります。

なぜ水問題の解決を考えているかというと、持続可能な社会をつくるためです。水問題の解決には水があればいいわけではなく、食料やエネルギーも必要なので関係性を合わせて考える必要があります。

一般的には、水関連の事業はたくさんのエネルギーを使います。

日本全国の水道事業で使われる電力は、1時間に約80万キロワットあり、これは原発1基分の電力に相当します。

とりわけ都市部の水道はエネルギー消費産業という側面をもっています。

ダムなど水源から取水し、浄水施設で浄水し、ポンプで加圧する過程で大量の電力が使用されます。

下水処理過程でもそうです。

水道事業がハイテク化されることによって、電力使用量は急増しています。

たとえば浄水方法が、戦前のスタンダードであった緩速ろ過から、戦後の急速ろ過、最近の膜ろ過や高度浄水処理へと変わるたびに、必要なエネルギーは増えてきました。

さらに海水淡水化技術を利用するには大量のエネルギーが必要です。

世界各地の都市で水不足を補うために海水淡水化をすすめようとしていますが、エネルギーを大量につかい、コストもかかるため、まちの持続可能性を弱めることになるでしょう。海水淡水化を進めるならば、同時に下水再生も行うべきです。海水淡水化は下水再生の2倍のエネルギーとコストがかかります。

世界が化石燃料への依存を減らす方向へと進むなかで、限りある資源に頼るプラントは改良が求められています。よりエネルギー利用の少ない海水淡水化技術を検討すべきです。

従来からの技術である蒸発法やマイロクナノバブルとの組み合わせなど、新しい方法を模索していかなければならないでしょう。

ペットボトル水は、石油製品であるペットボトルを使用すること、輸送に大量の石油エネルギーをつかうことで、二重に化石燃料を使用しています。アメリカではペットボトル製造のために年間150万バレルの石油が消費されますが、この量は10万台のアメリカ車を1年間走らせる石油量と同じです。

水道事業には浄水、ポンプの可動などにかなりのエネルギーが必要です。このエネルギーを減らすことが1つの課題です。そうすることによって水道事業にかかるコストを削減することができますし、温室効果ガスの削減にもつながります。

さらに水道事業がエネルギーを生み出すこともできます。

山間部は小規模水力エネルギーの宝庫です。小規模水力発電は、水流の小さな落差や農業用水路で水車を回して電気を起こします。日本の地形は急峻で、川の流域が狭く、勾配が急なのが特徴です。これは小規模水力発電を行うには非常に適した地形です。

山間にある簡易浄水場は水道行政からはお荷物のように見られていますが、小水力発電の拠点として活用することができるでしょう。

伊豆市湯ケ島の温泉街を流れる狩野川上流部の老舗旅館の敷地内に、東電系の「東京発電」が運営する落合楼小水力発電所があります。

この施設は新しいものではありません。1962年に旅館の自家発電用に設置されたものです。川の水を川べりの導水路に通し、タービンを回して発電します。出力100キロワットの電力量は一般家庭約200軒分に相当します。

最近では効率のよいタービン発電機が開発されていて、わずかな落差、小さな流れでも大きなエネルギーを生むことができます。

高低差を利用して送水する既存の水道施設を活用できる上、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出抑制にもつながる新たな発電方式として、温暖化対策に取り組む自治体を中心に注目を集めています。

水がエネルギーを生み出すことについて、いくつかのトピックスがあります。

1つ目は既存ダムによる水力発電です。

 

竹村氏は、既存のダムを最大限活用すれば、年間2兆円超の電力を供給できると試算します。つまり国産の原料と技術だけで、有害物質を排出しない持続可能なエネルギーが手に入るといいます。課題は、既存の法律、自治体が消極的なことです。

2つ目は水力発電に関するニュースです。

 

全国の水道施設で、水道管の高低差を利用して発電する「小水力発電」を導入した場合、3万世帯余りの電力を賄う能力があることが環境省などの調査でわかり、環境省は地球温暖化対策に向けて、設備の導入を後押しすることにしています。

3つ目は地下水熱の活用です。

 

大阪市は15日、JR大阪駅北側の再開発地域「うめきた2期」(同市北区)の暫定利用区域で来年1月から、地下水に含まれる地中熱を再生可能エネルギーとして活用する技術で、オフィスビルなどでの冷暖房の省エネ化を目指す産学官連携の実証実験を始めると発表しました。

実験では、常時18度程度に保たれている地下水の性質を利用。オフィスビルなどでは夏季の冷房に7度前後まで冷やした水を使うため、常温(約25度)の水より冷たい地下水を利用することで省エネになります。

冷房使用後に温かくなった水は地下に戻し、熱をためる地層の性質を利用して取っておく。冬季に再びくみ上げて暖房の熱源として45度程度まで加熱するときも、常温(約15度)の水より温かい水を使えるため省エネ効果があります。

都市部では地下水は有効活用されていません。この方法はある程度汚染された地下水を活用し、最終的には地中に戻するので枯渇の心配もありません。

このように水道事業の周辺には、エネルギー創出の機会があります。