週刊「水」ニュース・レポート    2016年9月29日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

 


責任者が不在という点では、豊洲の地下水問題も福島原発の凍土壁も同じです。

福島原発の地下には地下水脈が走っていて、毎日1000トンの水が原子炉建屋地下に流れ込んでいます。

事故前、この水を汲み上げて海に流していましたが、事故で汲み上げる装置が故障。

そのため水が原発施設のなかに入ってきたり、放射性物質で汚染された地下水と混ざりながら海に出ています。

その水の流れを止める目論見で計画されたのが「凍土遮水壁」。

凍土壁は1〜4号機の建屋周辺の土壌を取り囲むように長さ約30メートルの凍結管を埋め込み、マイナス30度の冷媒を循環させて地下に総延長約1500メートルの氷の壁をつくるというものです。巨大な2つの壁。山側の壁で建屋に流れ込む地下水をせき止め、汚染水の発生そのものを抑え、海側の壁に外洋に出ていく水も止めるのが狙いでした。

しかし、もともと効果がないとされていました。

「地下水の流れを完全に止めるのは不可能」

「できたとしても、しくみそのものが危険。予想を上回る遮水効果が現われて、建屋周辺の地下水が急激に低下した場合、建屋内の汚染水と水位が逆転して汚染水が環境中に漏れ出す」

うまくいきそうもないが、うまくいってもダメ。

不安は現実のものとなりました。

地中の温度は9割以上で氷点下まで下がりましたが、4カ所で7.5度以上のまま。

壁ができていれば減るはずの海側の地盤からの地下水のくみ上げ量が、凍結の前後で変わっていませんでした。

凍土システムが完全に機能せず、すきまから水が漏れているため「すだれ」と言われています。

約345億円を投じたものの、現状ではまったく効果を上げていません。

現在はすきまをセメント系の材料を入れることを検討しています。

しかし、これも問題です。セメントの耐用年数は約100年ですから付け焼き刃にすぎない。

さらに水が止まったとしても、凍土壁によって水が止まったのか、セメントによって止まったのかがわからないので、プロジェクトの効果や凍土壁の調整のしようがない。

東電は地下水の流れで下流側にあたる海側の凍土壁から段階的に凍結させ、水位の低下を防ぐ計画でしたが、海側の壁が簾の状態のままで、上流の山側を完全凍結すれば、水位がどんどん下がっていく可能性があります。

計画では、山側を完全凍結して遮水効果が80%以上になったら、水位逆転の危険を回避するためいったん凍結をやめるとしていますが、「80%」を正確に判断することはできません。

現在のような簾の状態のままでは効果はなく汚染水は流れ出す。

完全に機能しても汚染水が流れ出す。

慌ててセメントで補強しようとしている。

うまくいっているかどうかは定かではない。

膨大な税金をかけている。

責任者は明確でない。

そんないい加減な状態なのですが、汚染水の海洋排出計画が粛々とすすんでいます。

政府の汚染水処理対策委員会は9月27日、東京電力福島第一原発で生じた汚染水の浄化処理後に残るトリチウム水の処分方法を絞り込む小委員会を設置しました。

汚染水の海洋放出の是非を含めて議論する見通し。

小委員会のメンバーは大西有三関西大特任教授、開沼博立命館大准教授、小山良太福島大経済経営学類教授など。

政府の有識者会議が6月にまとめたトリチウム水の処分方法に関する報告書を基に、技術的な観点や風評被害の社会的な影響を踏まえて総合的に検討していきます。

この6月の報告書は海洋放出や蒸発などトリチウム水の処分方法に関する選択肢を提示していますが、処分にかかる期間や費用を試算した結果、海洋放出が最も短期間に低コストで実施できるとの内容を盛り込まれ、支持を集めました。

小委員会がそれをどう判断するかに注目です。