週刊「水」ニュース・レポート    2016年10月30日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

 


指摘されている発がん物質は臭素酸で、基準値の倍に当たる「水1リットル当たり0.02ミリグラム」検出されました。

この事実に触れる前に報道のあり方について考えてみたいと思います。

数日前、テレビのディレクターから電話があり「臭素酸が水に混入した原因を教えてください」と言われました。

正直、私は採水・製造過程を知らないので、答えられません。

そう伝えると「そこをなんとかズバっと言えないものでしょうか」と言うのです。

ズバッとは言えないとお断りしました。

「メディアは白黒はっきりしていないものは取り上げない」

「無意味な二元論に終始している」

と、よく言われます。

でも、私たちもそういう情報の捉え方に慣れてしまっていて、いつのまにか白か黒かの議論をしてはいませんか。

実態はグレーがほとんどなのだから、メディアの報道も私たちの議論も不毛なのではないかと思います。その不毛な白黒論争も1日も経てば新しい白黒論争にとってかわられてしまいます。すぐに白黒つけずグレーを見つめる余裕が欲しいと思います。

 

最近、水に関する国際会議に出席すると、多くの人がモニタリングの重要性について訴えています。

その地域に、どのような水質の水がどれだけあり、それはどこから流れてくるのか、どれだけ使われているのか、どこへ流れていくのかをあらためて計測しようというのです。

気候変動の影響も出ているので面的なモニタリングに、時間軸も加えた4次元のモニタリングが主流になりつつあります。

それに比べると、日本での白か黒かの議論は近視眼的すぎます。

豊洲のモニタリングもどうも水を点としかとらえていないような気がします。

9月下旬の報道を振り返ってみると、たまった水を測定して、「雨水だ」、「いや地下水だ」と言ったり、「水道水の原水にもできる」、「いや有害物質をこれだけ含んでいる」と言っていました。

数回の調査でそんなこと断言できるのかな、と思っていました。でも、それが白か黒かの議論に発展していました。

おそらく多くの専門家は継続的にモニタリングしてみないとはっきりしたことは言えないというはずで、メディアで発言していたのは「無鉄砲な人」かあるいは「圧力によって発言させられた人」でしょう。

豊洲には大量の地下水が流れています。浅いところを流れる地下水も、深いところを流れてそのまま海に入る地下水もあります。

まず、地下水は地下に固定されたものではなく流れているということです。そして、水はさまざまな物質を溶かし易い性質があり、土壌が汚染されていればその汚染物質を溶かすでしょうし、コンクリートのうえを流れればアルカリ性になるでしょう。

さらに地下水というと数十年も地下にもぐってから湧き出すと考える人がいるのですが、浅いところを流れる地下水は雨の影響を受けやすく、降った雨が数日ででてくるケースもあります。そういう地下水は水質の変動も大きいです。

いろいろと発言する前に、もう少しモニタリングをしたほうがよいだろうと思います。

 

さてミネラルウォーターから臭素酸の件ですが、やはり採水・製造過程が気になります。もちろん関係者はわかっているでしょうが。

一般的には2つのパターンが考えられます。

1)水処理中に発生するパターン:
臭素酸は、水処理過程ではオゾン処理によって生じる、消毒時に使用される塩素のなかに不純物として混じっている、臭化物イオンを含む水を塩素処理することによって生じるなどが一般的。だから水道水中からも検出されることがあった。

2)原水に臭素酸が入るパターン:
臭素酸は、河川、湖沼、地下水(井戸)からは検出されることがある。原因物質の一例としてはパーマネント剤中に含まれる臭素酸塩などが考えられるが、今回の原因についてはもちろん特定できない。

1)、2)のいずれにしても水を点としてではなく、面としてとらえることが真相究明につながっていきます。今回の場合は地下水をくんでいたと思われるので、豊洲の場合と同様、地下水の流れを面的にとらえることが重要です。