週刊「水」ニュース・レポート    2016年11月16日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「下水道の老朽化が道路陥没につながる理由」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


道路陥没の発生件数について、国の統計はありません。

ただし、地中の下水道管破損を原因とする陥没が圧倒的に多いとされています。

国土交通省のまとめでは、下水道に関連する道路陥没は、全国で年間約4000か所もあり、10件程度が物損事故につながっています。

いくつか例を紹介しましょう。

2015年、世田谷区瀬田の国道246号の歩道が陥没しました。下水道管のつなぎ目がずれて、周辺土砂が管に流入したことが原因でした。現場では路面に一辺約30センチの穴が開き、その下に縦約1メートル、横約50センチ、深さ約50センチの空洞が生じました。

2013年、北区赤羽の区道が下水道管の破損により陥没し、歩いていた近所の男性が転倒し一時意識不明になりました。道路表面1メートル四方に深さ10センチのくぼみができており、地下2メートルに埋めた下水道管2本を接続する箇所に穴が開いて土砂が流れ込んでいました。

同じく2013年には、大阪府豊中市内では市道に深さ2.5メートルの穴が突然でき、幼児を抱えながら自転車を押していた30代の女性が転落し、二人とも負傷しました。1966年ごろに敷設された下水道管が劣化し、事故前に数日続いた雨の影響で陥没が拡大したとみられます。

下水道管の耐用年数はおよそ50年とされています。

下水道管は上水道管とは違い、重力を利用して生活排水を流す造りになっています。

管自体を坂道になるように布設し、一定の距離ごとにポンプを設置し、下水を汲みあげて坂道を流し、下水処理場まで運んでいきます。

日本には、約46万キロ、地球11周以上の長さの下水道管が埋まっています。

コンクリート製の下水道管は詰まったりゆるんだりすると硫化水素ガスが発生し、酸化すると硫酸になり、下水管を溶かします。この状態が続けば下水管に穴が開き、周囲の土砂が吸い込まれて空洞ができます。そこに車両などの重みが加わると陥没事故につながります。

下水道管の大きさは、直径25cmのものから8.5mに及ぶものまでさまざま。2階建ての家がスッポリ入る高さ8.3m、幅7.2mの四角いものもあります。大きな下水道管が損壊した場合、引き込む土砂の量も多くなるため、被害は大きくなります。

すでに腐食の激しい下水道管は全国に約10万カ所以上あるとされ、それが時とともに増加しています。しかし、計画的に下水道を点検している自治体は約2割にとどまり、肝心の更新も進んでいません。

昨年下水道法が改正され、下水道事業者は老朽管の定期点検を義務付けられましたが、管路の実情を把握できていない、管路の長さに比べ点検する人材が不足しているなどの実態があり、この問題に対応しきれていません。

もしかすると足元に下水道の問題があるということを頭の片隅に置いて外出したほうがよいのかも、と思ってしまいます。

下水道由来の道路陥没が発生しやすいのは、アスファルトが熱でやわらかくなり路上の圧力が地下に伝わりやすい夏の時期、地下水が上昇、土砂が不具合部(クラック)へ侵入しやすい梅雨時とされています。