週刊「水」ニュース・レポート    2017年2月22日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

  • 「活性炭で談合か、公取委立ち入り 浄水場などで使用」
  • (アクアスフィア 橋本淳司)

 


浄水場で水から不純物を除去するためなどに使われる活性炭の納入を巡って談合を繰り返していたとして、公正取引委員会は21日、独禁法違反(不当な取引制限)の疑いで、東証1部上場の化学メーカー「クラレ」(東京)などを立ち入り検査しました。

大阪ガスケミカル(大阪)、水ing、カルゴンカーボンジャパン(いずれも東京)など、計10社以上が検査の対象とみられます。

クラレと水ingは取材に対して「調査に協力する」、大阪ガスケミカルは「調査を受けているのは事実」とそれぞれ回答。カルゴンカーボンジャパンは「コメントしない」としています。

この技術は、大都市が採用する高度浄水処理という水をおいしくするしくみのなかで、とても重要な役目をになってきました。

活性炭とは、石炭や、ヤシ殻などの炭素物質を原料とし、高温でガスや薬品と反応させて作られる、ミクロの穴をたくさんもつ炭素です。この穴の表面積は広く、ここに汚濁成分、着色成分、臭気成分、有機成分などの水を浄化します。

クラレ社の活性炭は、特殊な形状をしており、浄水能力が高いとされ、東京都水道局等で採用されていました。一方で、「性能のわり高額である」ことも評判になっていました。

そうしたことが水道局の職員の口から出ることと、今回の談合発覚には関係があると思います。

 


 

【今回厳選したニュース・レポート その2】

 

 


環境省は国内最大のサンゴ礁の石西礁湖で、「サンゴの91%が白化、70%が死滅した」という調査結果を発表しました。

沖縄県の石垣島と西表島の間にある国内最大規模のサンゴ礁「石西礁湖」の再生に向けた取り組みを話し合う「石西礁湖自然再生協議会」が、2月19日、石垣市の八重山商工高校で開かれました。

琉球大学海洋自然科学科の中村崇准教授は、環境省とともに昨年9月に調査し、サンゴの種別でまとめた白化現象について報告しました。

35地点で約6400群体、11種別の白化率などを分析。結果は、コブハマサンゴを除く10種類で98%以上が白化、うち4種類は100%白化しました。

背景にあるのは、地球温暖化による海水温の上昇です。

海水温の上昇や、強い太陽光などのストレスを受けると、褐虫藻はサンゴの体内からなくなったり、色素を失ったりします。これが白化現象です。この状態が2~3週間続くと、サンゴは死に至ります。海の生き物に住みかや産卵場所を提供するサンゴ礁が無くなると、海の生き物のうち4分の1の種類が生きていけなくなると言われています。

そうしたなか、今回とりあげたニュースです。

沖縄のサンゴ養殖場で、高い海水温でも白化しないサンゴが生み出され、研究者から注目されています。

サンゴ養殖の第一人者として知られる金城浩二さんは4年前、「子供に近くでサンゴを見せたい」という動機から、沖縄の海に広く分布するウスエダミドリイシというサンゴを水槽の浅い場所へ移動しました。

多くのサンゴが太陽光の影響を受けて白化し、弱ってしまいましたが、生き残るサンゴがありました。

生き残ったサンゴを選抜して増やし、さらに浅いところへ移動させることで、少しずつ環境に適応させていきました。

強い太陽光が降り注ぐ水面近くでも、白化しないサンゴを育てることに成功。このサンゴを海に移植すると夏の高い海水温にも耐えられることがわかりました。

では、なぜ白化しないサンゴができたのか。

琉球大学の中野義勝さんらの研究チームは、サンゴの体内にいるバクテリアに注目しました。「Endozoicomonas(エンドゾイコモナス)」というバクテリアが、白化しなかったサンゴの体内に、多いことがわかりました。

では、白化しないサンゴが養殖できたとして、それを移植してよいものか。

国立環境研究所の山野博哉さんは記事中、

 

  • 「その場所にもともといない種類のサンゴを移植すると、生態系を壊すことにつながるので、移植場所や種類を選ぶ際には、慎重に判断しなければならない」

と指摘する一方、

 

  • 「強い個体が生き残るのは、自然界でも当然起こっていることなので、本質的な問題はない。温暖化が急速に進む今、白化対策は時間との戦いで、高水温でも白化しないサンゴを増やしていくことは大きな意味がある」

と話しています。

温暖化はますます進み、サンゴの白化は止まりません。それにともなう海洋生物の減少も進んでいます。

研究が進み、白化しないサンゴが生態系に悪影響を及ぼさないことがわかれば、海洋生物の減少を止めることができるかもしれません。