週刊「水」ニュース・レポート    2017年3月29日号

 

 

 

【今回厳選したニュース・レポート】

 

 


あなたの家の近くに白髭神社はありますか?

白髭神社(「白鬚」「白髯」表記を含む)は、全国に268社(国税庁が法人番号を指定、2016年12月現在)あります。総本社は滋賀県高島市。主に太平洋側の海・川沿いの水害常襲地域に分布しています。民俗学者の柳田国男は白髭信仰を「主として水辺の神」としています。

安部川流域を管理する国土交通省静岡河川事務所の調査では、流域に41社の白髭神社が集中していることがわかりました。

その理由は災害の歴史と深く関わっています。

安倍川流域では、古来より数多くの土砂災害が発生していることが記録に残されています。その主だったものを紹介しましょう。

宝永4年(1707年)、東海道沖~南海沖を震源とするマグニチュード8.4と推定される巨大地震が発生しました。安倍川上流域の大河内では山腹に多くの崩壊が生じ、人家の石垣が多数崩れ火災によって焼失した家屋もあったとされています。宝永6年(1709年)の「駿河国安倍郡梅ヶ島村差出シ(村差出明細帳)」には「大谷崩」という崩壊地があることが記載されています。

安倍川の最上流の大谷崩からは、今までにたくさんの土砂や石が下流へ運ばれ、川の途中に積もっています。これが安部川に水害が発生しやすい1つ目の理由です。

もう1つは、安倍川の流域が台風や梅雨などで非常に雨が多く降る場所だということです。年間降水量は約3200mm(日本の平均は1700mm程度)。急流で知られる安倍川は、大雨が降ると一気に水かさを増して、積もっている土砂や石などをまきこんで勢いよく流れ下り、土石流となって災害を起こすことがあるのです。

こうした環境が数多くの災害をこの地にもたらしてきました。

大正3年(1914年)8月、浜松付近に上陸した台風の影響により、静岡市ではこの日の昼過ぎから暴風雨となり、大河内で498mm、大川で415mmを記録。

安倍川は安西の堤防が破壊され、市域の東部・北部を除く多くの地域で浸水しました。

特に安西5丁目ではほとんどが軒裏まで水没。死者45名、負傷者90名、流出家屋約1,000戸、浸水家屋10,000戸、流田埋畑は180haに及びました。

昭和49年(1974年)7月7日、梅雨前線が台風8号に刺激され、勢力を増しながら次第に東方に進み、静岡県下にすさまじい豪雨をもたらしました。

静岡市の雨量観測史上空前の日雨量508mを記録。被害は上流部より下流部に集中し、死者23名、負傷者28名、家屋の全半壊186戸、浸水家屋22,796戸、被害総額約400億円という多大な被害を出しました。被害の大部分は、山地斜面の崩壊と、それに由来する土石流、ならびに中・小河川の破堤、あるいは越流による内水氾濫でした。これを七夕豪雨といいます。

七夕豪雨以降は大きな水害が発生していないことから、安部川はもう大丈夫という人が多いのです。しかし、安部川が水害の発生しやすい環境にあることは少しも変わっていませんし、近年は温暖化の影響で雨の降り方が変わってきたことを考えあわせ、あらためて水害に対する意識を高める必要がありそうです。

それは安部川流域に限ったことではありません。

白髭神社は水害の起きた地域に建てられていることが多いののです。近くに白髭神社があったら、水害の歴史を調べてみてください。

 


 

 

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