アクアコミュニケーターの知恵
水をめぐる争いのはなし | Story of the battle for water
コロラド川をめぐる争い

アメリカ合衆国中央部に端を発し、メキシコに入り、カリフォルニア湾に注ぐコロラド川。
かつて、メキシコ半島のつけ根にあたる地域は、コロラド川から豊富に水がもたらされ、自然の宝庫だった。
しかし、長年にわたる灌漑農業、上流にフーバーダムとグレートキャニオンダムが建設されたことで、コロラド川の下流付近はほとんど干上がってしまった。
もはや川の流れは、カリフォルニア湾まで届かなくなりつつある。
水量だけでなく、水質の問題も起きた。
1960年のことだ。
コロラド川は、もともと塩分を多くふくんでした。
ところが、アメリカが大量に水をひくようになってから、塩分の濃度は年々高くなった。
塩分を多く含んだ水や土では、農作物が育ちにくくなる。
とくにメキシコに流れ込む水の塩分濃度は非常に高くなり、農業に深刻な被害が出た。
アメリカは国境近くに脱縁処理施設をつくり、大量のエネルギーをつかって水から塩分を抜き取り、コロラド川に戻した。
しかし、かつてのコロラド川にはほど遠い。
国際河川の上流での水の濫用は、下流域全体を死滅させてしまうのだ。