アクアコミュニケーターの知恵
水と地球環境のはなし | Story of the global environment and water
サイクロン、ハリケーン、台風の違い
夏になると猛威をふるう、サイクロン、ハリケーン、タイフーン(台風)。
これらはすべて熱帯低気圧なのだが、発生する場所によって名前が変わる。
インド洋、南太平洋に発生する熱帯低気圧をサイクロンといい、
太平洋(赤道以北の日付変更線より東側)、大西洋に発生するものをハリケーンという。
さらにタイフーン(台風)は、東アジア周辺の太平洋(赤道以北の日付変更線より西側)に発生する。
これらが、ここ数年、深刻な被害をもたらしている。
2005年、米国はハリケーン「カトリーナ」に襲われ1800人もの死者が出た。
2007年にはサイクロン「シドル」がバングラデシュに上陸。死者3000人以上、被災者は870万人以上と報告されている。
2008年にはサイクロン「ナルギス」がミャンマーを直撃し、死者・行方不明者約14万人と深刻な被害をもたらした。
熱帯低気圧は、温かい海水がもつ熱エネルギーにより発生する。
地球の海水温度は上昇しており、温暖化で空に上りやすくなった水蒸気は、以前より強い雨雲になり、豪雨の原因となっている。
台風は南海上で発達し、日本列島に接近すると次第に衰えていくというのが、これまでのパターンだった。
南海上は海水温が高く、台風の発達に必要な条件が整っているが、日本列島近くでは海水温が下がるために台風は衰えたわけだ。
しかし近年は、日本列島周辺の海水温も高くなっており、勢力を保ったまま上陸することが増えている。
台風が上陸、あるいは接近すると、暴風、高潮、高波により、樹木などが倒壊したり、建物が損壊したりする。
大雨による洪水、土砂崩れ、地すべりなどの被害が発生する。
一方で台風は、梅雨以後の重要な水源でもある。
たとえば沖縄では、台風による降水は水確保のうえで重要な役目を果たしている。
また、2005年の台風14号は、渇水によって貯水率0%となっていた早明浦ダムを1日で100%に回復させた。
また台風に乗って移動する動物もいる。
たとえばメスアカムラサキやカバマダラなど熱帯域の種が日本に出現する。
カツオノエボシやカツオノカンムリなどのクラゲ類、アサガオガイやルリガイ、あるいはササノツユやマルカメガイなど太平洋上の生物を日本沿岸に吹き寄せることもある。