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アクアスフィア・水教育研究所 代表 橋本淳司の公式ページ

アクアコミュニケーターの知恵

 

 

水と人々の健康のはなし  |  Story of people's health and water


 

農薬による水汚染

 

農業は、貴重な食べものを産み出すと同時に、水を汚す物質の発生源でもある。

農業から発生する水質汚染物質には、化学肥料に含まれるリンや窒素の化合物、畜産動物の屎尿などがある。

とりわけ現在、大量の化学肥料と農薬が使われており、これらが水を汚す原因になっている。

肥料として使われる窒素やリンなどは、農作物に吸収されるのはごく一部であり、残りは土壌に浸透している。

窒素やリンは、植物プランクトンのえさとなり、赤潮などが大量発生する原因になる。

さらにプランクトンの死骸が海底にたまると、酸素濃度が低くなり、生物が生きられない貧酸素水塊(青潮)と呼ばれる水域を作り出す。

地下水汚染のなかで、汚染がとくに広い範囲におよぶうえに汚染源が特定しにくい「ノンポイント汚染」がある。

これを引き起こす汚染物質の代表が、硝酸・亜硝酸生窒素。

これらは農地で過剰に用いた窒素肥料や畜産の排水・家庭排水などから供給された窒素化合物が、土壌中で分解されてできる。

 

また、オレンジ剤とよばれる除草剤にふくまれるダイオキシンは、環境中に放出されると回収されにくく、分解も進まないので長く残留し、汚染は広がる。

農場にたい積した屎尿も水源に悪影響を与える。

農業排水の管理としては、濁水防止のための排水止水板の設置や、ため池の設置、微生物を使った浄化など、さまざまな方法があるが、いまのところ不十分な場所が多い。

 

 

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