アクアコミュニケーターの知恵
水と人々の健康のはなし | Story of people's health and water
弱みにつけこむ水商売
東日本大震災後、放射能汚染の不安に便乗した悪徳商法が多く現れた。
国民生活センターへの相談は震災から2カ月余りで1400件を突破。
その内訳は、
- 不必要な住宅リフォーム工事の高額契約、
- 電力工事を装った電気修理の高額請求、
- 災害義援金の募集を装った詐欺、
- 放射性物質の除去や被ばくの低減をうたった浄水器の高額販売
などである。
悪質な浄水器販売業者は、「100%放射性物質が取り除ける」などと、不安をさかてにとった売り文句で近づいてくる。
放射性物質をとれるとされる「RO膜浄水器」だといいながら、そうでない浄水器のケースもあった。
放射性物質の危険性をネット上で繰り返し叫んでいた人物が、じつは浄水器・活水器を販売していたケースもあった。
彼らにとっては放射性物質の危険性が認知されることは商売の追い風になるのだ。
浄水器の点検を装って家に上がり込み、商品を不当に高い値段で売りつける「点検商法」も頻発した。
点検商法はお年寄りをねらうケースが多い。
被害に遭ったにもかかわらず、そのことに気づいていないお年寄りもいた。
業者は、以前に訪問販売で浄水器を購入した人のリストを元にまず電話。
「前に浄水器を売った業者の営業所が閉鎖されたので代わりに点検します」
などと嘘をついて訪問する。
浄水器を点検した後に
- 「ひどく汚れているし、カートリッジの型が古くてすでに製造中止になっている」
- 「放射性物質がたまっていてこのまま使い続けると病気になる」
- 「お孫さんの健康が心配ではないですか」
などと不安感をあおり、高額で新品の浄水器を売りつける。
業者間でリストが出回っており、2次被害、3次の可能性が高いのも特徴だ。
さらには飲料水業者を装って、架空の未公開株や社債を売りつける悪質商法の被害もあった。
東北地方の水源地を所有する会社を名乗る男が
「震災で水が不足しているので年6~8%の高配当が得られる」
と勧誘するケース。
「安全な水の需要が高まっている」
と社債の購入をすすめられるケースなどがある。
水は飲まなくては生きていけない。
その水がなくなったり、汚染されたのだから、慌てるのも無理はない。
しかし、そこに商機を見出している人がいることを頭に入れておいてほしい。