アクアコミュニケーターの技術

 

 

aqua-solutions 07

2012.9.1

 

 

「低コスト・省エネ」水質浄化のカギを握る超微細気泡



6. 湖や沼などの閉鎖水域をきれいにできる

 

湖沼は川のように流れがないため、排水などの汚れがたまりやすい。

こうした場所は閉鎖水域とよばれるが、酸素が不足すると、水の汚れを分解する微生物の働きが弱くなり水はますます汚れていく。

現在、湖の水質保全のために以下のような対策がとられている。

 

  • ① 特殊な繊維等を使って、湖の流れ込む川の水にうかぶ細かいゴミや有害な物質などを吸着させ取り除く
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  • ② 湖の底にたまった土砂や泥などを、特殊な船やポンプで取り除く
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  • ③ 湖岸のあさい水域に、窒素やリンなど水質を悪化させる物質を吸着する植物を植えて、ある程度吸着したところで植物を刈り取る
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  • ④ 湖の底にたまった酸素濃度の低い水を、空気を送りこんで水面まで上昇させたあと、酸素をふくませてからふたたび底に戻す
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  • ⑤ 水質のよい川の水を湖などに人工的に流し込むことで、汚れを薄める

 

しかしながらいずれの方法も決定打とはなっていない。

そこで注目されているのが超微細気泡を使って水中に酸素を送る方法だ。

水中に酸素を送り込む対策は、撹拌機など単純な技術のほか、これまでもさまざまな方法がとられてきたが、一番の課題は注入した酸素の多くが水中にとけ込まず大気に逃げてしまうことだ。

マイクロナノバブルによる酸素注入は、気泡が水の比重を上回るため(仮説)、水底に酸素を送り届けることができる。

閉鎖水域における酸素不足を改善するためには従来技術の気泡が吹き込まれているが、送気した空気の98%は海面から逃げてしまう。

超微細気泡を使用すると気体の90%が水中に溶け込むため、同量の酸素を溶け込ませるとすればエネルギー使用量は10分の1以下になる。

各地で実証実験がはじまっている。

 

横浜市の日本丸引き込み運河や、新潟県のラムサール条約登録湿地・瓢湖の実証実験で使われた装置は、1~10㎛の酸素気泡を多量に発生させる。

堆積したヘドロなどを分解する微生物に酸素を供給し活動を活性化させる。
これによって水質浄化をねらう。

電源は太陽電池パネルから供給され、24時間連続運転を行うことができる。

将来的には、河川などの大規模水域の水質浄化にも応用されるだろう。