アクアコミュニケーターの知恵

 

 

水と地球環境のはなし  |  Story of the global environment and water


 

水の少ない地域の暮らし

 

世界には、水道もなく安全な地下水や雨水も利用できない人が約11億人いる。

そうした地域では厳しい生活を送っている。

たとえば、中東の砂漠の村では1日約25リットルの水で暮らす。

 

 

その内訳は、

 

  • 飲み水・手洗い・洗面に10リットル
  • 洗濯に8リットル
  • 炊事に7リットル

トイレは水洗式でないので水は使わず、シャワーや風呂はなく、川で水浴びをする。

 

西アフリカの村では1日約5リットルの水で暮らす。

 

 

その内訳は、

 

  • 飲み水・手洗い・洗面に4リットル
  • 炊事に1リットル

この村でもトイレは水洗式ではないので水は使わず、シャワーは雨にうたれるだけ、洗濯はめったにできない。

 

人が衛生的な暮らしをするには最低でも1日20リットルの水が必要と言われるが、1日10リットル以下という国が、ガンビア、ハイチ、ジブチ、ソマリアなど20か国もある。

 

さて、水の少ない地域でも食料生産のための水は必要だ。

農業用水を水路などを使って供給し、耕地をうるおすことを灌漑という。

しかし現在、世界のすべての場所で灌漑がうまくいっているわけではない。

多くの発展途上国では、利用できる淡水の40%を灌漑に使うが、このうちの半分以上が、肝心の農作物に届いていない。

 

用水路を流れるうちに蒸発してしまったり、漏れてしまったり、給水中に失われたりする。

農業用水をいかに効率的に利用するかが大きな課題となっているわけだ。

 

2010年、中国へ農業の取材に行ったとき、現場で多くのイスラエル人に会った。

中国はイスラエルの節水型の農業を学んでいた。

イスラエルは国土の60%が乾燥地帯だ。

降雨量は北部で平均700ミリ、南部では50ミリ以下。

「アラブ人が、農業ができないから捨てた」

と言われるほど過酷な土地である。

ところが食料自給率は93%以上。

イスラエルの農業人口は8万人で、日本の農業人口は400万人だが、現在農業輸出高21億ドルでほぼ同じ。

イスラエルの農業生産は過去30年で約5倍に成長したが、水使用量は増えていない。

これを可能にしたのが点滴灌漑という技術で、少ない水をピンポイントで作物にあたえる。

 

 

 

この結果、節水型の農業が可能になる。

点滴灌漑のしくみを途上国でも実現可能なかたちで普及できれば、少ない水での食料生産が可能になる。

 

 

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