アクアコミュニケーターの知恵

 

 

水と地球環境のはなし  |  Story of the global environment and water


 

世界的に枯渇する地下水

 

 

世界中で大量の地下水がくみ上げられている。

その量は、雨によって地下水が補給される量をはるかに上回る。

そのため地下水が枯れてしまったり、地盤沈下が起きたり、砂漠化が進行する地域がある。

 

地下水は主に農業、つまり食糧生産につかわれる。

大規模な灌漑農業は、一時的には作物の収穫量を増やす。

ところが、大量に水をまくことで、地中の塩分が地表にあがってきたり、地下水にふくまれる微量の塩分が地表に残ったりする。

大規模な灌漑が続けば、地表に塩分がたまり、作物は育たなくなる。

 

アメリカ中西部には

「世界のパンかご」

と呼ばれた大農業地帯がある。

日本で食べられているパンも少なからずここの小麦からつくられた。

ここにはオガララ水系という世界最大級の地下水脈が南北に走っている。

これまで地下水を汲み上げて農業生産を行ってきたが、最近では枯渇が心配されるようになった。

 

中国の多くの都市では、使用する水のほとんどを地下水に依存している。

地下水が補給される量をはるかに上回っているため、地下水の水位が下がり枯渇が心配されている。

高度経済成長の過程で、工業用水用に地下水を大量に採取したため、地盤沈下や塩水化などが発生し大きな問題となっている。

 

日本でも2011年12月、安曇野市の地下水保全対策研究委員会で、座長を務める藤縄克之・信州大教授(地下水学)が

「市の地下水が年間600万トン減少している」

と発表した。

根拠としたのは、1986年と2007年に農林水産省や国土交通省が実施した地下水位調査。

データを基に地下水位の「等高線」を描くと、86年に比べ、07年は水位がはっきりと下がっていた。

失われた水量が21年間で1億2500万トンに上ると推計。

限られたデータに基づくとはいえ、市内の地下から毎年、東京ドーム5杯分の水が失われているという数字が示された。

日本の地下水不足は、地面から雨水がしみ込まなくなったことが大きい。

田んぼがなくなり、都市がコンクリートで固められたことが、主な理由である。

 

 

目次へ戻る