アクアコミュニケーターの技術
aqua-solutions 05
2012.5.2
雨水を活用して新しい治水と利水を
- 雨水は蒸留水に近い
- ダムに頼らない治水
- 水道使用量を上回る降雨量
- 雨水都市を可能にする大型地下貯留槽
- 雨水活用技術で海外に貢献する
2. ダムに頼らない治水
諸外国は利水対策を雨水に求めたわけだが、じつは日本では治水対策からはじまった。
日本のパイオニアは東京都墨田区だが、きっかけは隅田川氾濫による洪水だ。
墨田区一体は地盤が低く、大雨で川が氾濫すると街中が水浸しになる。
都市の地表面が建物やコンクリート道路で覆われて、水を通さなくなったために、激しい雨が降ると降雨が下水や河川の流下能力を超え、都市内にあふれ出し、いわゆる都市型洪水を頻発させる。
そこで個人宅にタンクを設置。
雨水を一時的に貯留し、墨田川への雨水の流出抑制を図った。
屋根に降る雨水をタンクにためたり、降った雨を大地に浸透させれば洪水の防止につながる。
1つの住宅やビルでためられる雨水はわずかでも、それが地域全体、流域全体にひろがっていけば、大きなダムと同様の効果を発揮する。
こうすることで治水ダムや堤防に頼らない河川政策ができるわけだ。
これまでの治水対策は河川区域にだけに着目して行われてきた。
簡単に言えば、水をコンクリートで制圧しようとしてきたんだよね。
明治時代半ば以降、連続堤防で川を直線化し、洪水をできるだけ早く海に押し出すという治水事業によって、洪水流量がかえって増え、さらに大規模な治水計画を立てるという「いたちごっこ」を繰り返すはめになった。
この考え方で「より安全な暮らし」を追求しようとすると、限りなく堤防を高くし、ダムを造り、山河を破壊し続けなければならない。
そこで河川だけではなく、流域全体に視野を広げた治水対策が必要になる。
川を制圧しようとするのではなく、増水の原因となる雨をため置いたり、地下に浸透させたりする。
具体的には、流域内に雨水貯留施設を整備したり、個人住宅で雨水タンク、浸透マスなどを設置する。
都会ではそれぞれの家がタンクに雨水をためれば、無数のミニダムを都市におくことができる。
かりに東京都内のすべての一戸建て住宅が屋根に降った雨をためたとすると、1億3000万トンの水が確保できる。
それは利根川水系の八木沢ダムが東京都に供給している水量を上回ってしまうのだ。
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