アクアコミュニケーターの技術
aqua-solutions 05
2012.5.2
雨水を活用して新しい治水と利水を
- 雨水は蒸留水に近い
- ダムに頼らない治水
- 水道使用量を上回る降雨量
- 雨水都市を可能にする大型地下貯留槽
- 雨水活用技術で海外に貢献する
5. 雨水活用技術で海外に貢献する
トーテツには海外からの引き合いも多い。
だが、商談の際には、旧来のコンクリート製地下貯水槽との価格差が論点になる。
たとえば中国では貯水量100~200トン程度のコンクリート貯水槽は、1トン当たり15000円で建設可能。
日本で同様のものをプラスチックで造ると、3万5000円~5万円程度。
日本と諸外国では、建設労務費等の人件費に大きな差があるうえ資材価格にも開きがある。
ただし、今後はプラスチック製が世界の主流になる可能性が高い。
コンクリート製は規模が大きくなるとコストが増大。1000トンを超える大規模なものでは価格が逆転する。
ほかにもプラスチック製にはメリットがある。
1つは、コンクリート製に比べて工期が短く、設置場所の条件に応じてさまざまな築造が可能。
2つは、土地利用の変更にともなう移設が必要になっても、大部分の資材がそのまま再利用できる。
3つは、プラスチック工場から出るパイプの端材、再生塩ビパイプ、都市再開発にともなって発生する廃パイプも利用できることだ。
東京都墨田区を拠点とする「雨水市民の会」が、力を入れているのがバングラディシュに貯水タンクを設置する「スカイウオータープロジェクト」。
バングラディシュの地下にはヒ素を含む地層があり、井戸水から健康被害が広がり、死亡する人も少なくない。
しかし水道が整備されていないうえ、川や池の水が汚染されているため、わかっていても地下水を使わざるを得ない。
そこでバングラディシュの人々の生命を救うために、雨水活用の普及に取り組んでいる。
世界の最貧といわれるこの国では、材料は現地で調達できるもので、しかも安くなくてはならない。
そこでトイレをつくる際に使われるコンクリートリングを使用し、リングタンクを開発。
事業を持続可能にするため、マイクロクレジットシステムを取り入れている。
このシステムを側面から支援するため、地元NGOと組んでハンディクラフト製品の制作を依頼し、それを日本で販売。
得た金をマイクロクレジットの利子補給に活用するという好循環を築こうとしている。
身近な水源を確保できた都市だけが持続可能性があると言われるなか、雨水活用は今後その存在感を増す。
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