アクアコミュニケーターの技術
aqua-solutions 07
2012.9.1
「低コスト・省エネ」水質浄化のカギを握る超微細気泡
- 顕微鏡世界の気泡がもつさまざまな可能性
- 高速魚雷艇のスクリュー腐食が研究のきっかけ
- 途上国で汚水を処理し安全な水を確保する
- 低コスト、省エネルギーの海水淡水化を実現
- 開発途上国のニーズにあった支援ができる
- 湖や沼などの閉鎖水域をきれいにできる
- 下水処理コスト削減の可能性
1. 顕微鏡世界の気泡がもつさまざまな可能性
2009年、水の安全保障戦略機構が設立された。
目的は国内外の水問題を解決するため、省庁を横断する水分野の提言を行なうこと、円滑な行政、学術研究、民間企業の海外活動、NPOや市民レベルの活動を支援すること。
機構は水問題で司令塔的な役割を担い、実際の行動主体となるのは、民間企業、学会、NPOが参加する「チーム水・日本」で、現在40のチームがエントリーされている。
そのうちの1つに
「超微細気泡(混相流)で水を科学するチーム」
がある。
研究対象は水中の泡。
一口に気泡といっても大小さまざま。
水槽のエアレーション、シャワーヘッドから出る気泡のように直径1~2ミリのものも「微細」と呼ばれることがあるが、ここでいう「超微細気泡」は顕微鏡世界のもので、マイクロバブル、ナノバブルと呼ばれる。
マイクロバブルは発生時の直径が50㎛(ミクロン=1000分の1ミリ)以下、ナノバブルは気泡径が1㎛(ミクロン)以下とされ(定義は諸説あり)、特徴的な性質をもつ。
通常の気泡は発生後に水面に向かって上昇し表面で破裂するが、マイクロバブルはイオンの力により収縮し、ナノバブルとして一定時間残存する。
収縮することで気液界面のイオン濃度は高められ、内部の圧力と温度は上昇する。
この特性を水問題解決をはじめ産業・医療分野で応用しようというわけだ。
今回は、超微細気泡の特性や可能性について探っていこうと思う。
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