アクアコミュニケーターの技術
aqua-solutions 08
2012.10.18
限界集落、開発途上国の課題を解決!市民が管理できる小規模給水施設
- 市民管理の小規模給水施設 ⑴
- 市民管理の小規模給水施設 ⑵
- 市民管理の小規模給水施設 ⑶
- 市民管理の小規模給水施設 ⑷
- 市民管理の小規模給水施設 ⑸
1. 市民管理の小規模給水施設 ⑴
<日本の水道普及率>
日本の水道普及率は97.5%(平成22年)。
※水道普及率=総給水人口÷総人口総給水人口
※総人口総給水人口=上水道人口+簡易水道人口+専用水道人口
都道府県別に水道普及率を見ると、100%普及している東京都、沖縄県がある一方で、熊本県の86.1%、福島県の89.6%と低い地域もある。
単純に考えると約300万人が水道の通っていない地域に住んでいる計算になる。
だからといって水が飲めないわけではない。
こうした地域の多くは山村にあり、清浄な湧き水、地下水など水に恵まれた地域でもある。
ところが近年事情が変わってきた。
地域の高齢化が進み、施設の維持管理がむずかしくなっていたり、水質が悪化したり、水量が不安定になったりする地域も出てきた。
こうした地域では新たな解決手法が求められている。
大分県豊後高田市の黒土地区は人口223人の小集落で良好な水源がない。
表流水、浅層地下水は乏しく、比較的水量を確保できる深層地下水には、鉄、マンガンが多く含まれる。
いわゆるカナケの強い、黒茶色の濁り水で、飲用はもちろん、洗濯・風呂などに使用するのもむずかしい。
<大分県豊後高田市黒土地区の地下水>
住民は毎日10キロ離れた湧水を汲み生活用水とするが、それも
- 「自動車が運転できるうち。やがて水を確保するのはむずかしくなる」
と先々を心配する。
洗濯のために豊後高田市内のコインランドリーまで毎日通う人もいる。
どこの自治体も水道事業の財政は厳しく、小規模集落に新たな水道を敷設する計画はない。
企業の地下水利用、少子化、節水などの影響で水道事業の収益は減少の一途。
過去の設備投資のツケとして水道で10・6兆円、下水道で31・8兆円の借入金も残る。
さらに水道管の破裂事故が多発。
2010年の水道管破裂事故は1200件、下水道の陥没事故は4700件。
日本水道協会の調査では、全国の水道管の総延長約61万キロメートルの内、法定耐用年数(40年)を過ぎた管路は約3.8万キロメートル。
これらを耐震管に更新したとすると費用は1キロ1億~2億円かかる。
こうした状況のなか、人口233人の集落に新たな水道を敷設する体力はない。
住民の間には見捨てられた感が広がっている。
これは発展途上国の話ではない。
日本の話であり、こういう地域は各地に人知れず存在する。
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