アクアコミュニケーターの技術
aqua-solutions 05
2012.5.2
雨水を活用して新しい治水と利水を
- 雨水は蒸留水に近い
- ダムに頼らない治水
- 水道使用量を上回る降雨量
- 雨水都市を可能にする大型地下貯留槽
- 雨水活用技術で海外に貢献する
4. 雨水都市を可能にする大型地下貯留槽
雨水活用には大きく3つの役割がある。
第一に都市型洪水の防止。
タンクなどに一定量の雨水を貯留し、雨水の流出速度を抑制する。
第二に身近な水源。
東京都の年間降雨量は約1400ミリ。
仮にすべての雨水を集めると東京都の年間水道使用量を上回る計算になる。
第三に災害時のライフポイント。
災害でラインが寸断されれば都市機能は完全に麻痺する。
東日本大震災では寸断された水道が復旧するまでに長い時間を要した。
そのため一点集中の大規模水源から分散した小規模水源へという発想の転換が必要になっている。
役割を十分に果たすには、個人宅や街角での小規模貯留ではなく、公共施設の地下などに、大規模の雨水タンクを設置できれば、本格的な災害時の水源となる。
関東地区のメーカー、トーテツ(本社・東京都品川区)は、雨水を資源化する「ユニバーサル(UN)地下貯留システム」を開発した。
貯留材と呼ばれるプラスチック製の部材を上下左右に積み上げて立体をつくり、全体をシートで包む。
貯留材の組み合わせ次第で大きさは自在に。
かつてはコンクリートや鉄だった素材が、プラスチックに変わったことで、ブロックのように組み合わせ可能になり、簡単に大型施設ができるようになった。
宮城県塩釜市のショッピングセンターは1018トン、茨城県土浦市のショッピングセンターでは500トンの貯留槽が地下に埋設された。
そのほか学校や保育園等のグラウンドの下、公園の地下、ショッピングセンターの駐車場の下、マンションや一般家庭の庭・駐車場の下などに設置されている。
貯留した雨水は生活用水として活用。
前述したように雨水はそもそも土壌の影響を受けていないので蒸留水に近い。
ただし、降下途中で空気中の塵埃や汚染物質、降下後に有機物が混入する可能性がある。
これらをいかにゼロに近づけるかが、地下貯水槽の課題だった。
塵埃や汚染物質の大部分が降りはじめの雨と一緒に降下することがわかっている。
そこで初期雨水は貯留せず、それ以降の雨を桝に送り、ろ過する。
3つの桝(流入桝、土砂溜桝、下部管理桝)を経るうちに、塵埃や大気汚染物質は95%以上除去され、さらに下部管理桝に不織布フィルターを内蔵すれば、流入土砂・塵埃の99.6%を除去し、きれいな雨水を貯留槽に導くことができる。
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